持田将光氏、日本市場へ本格回帰──本土戦略の深化と金融教育普及に注力

2023年1月、独立系投資研究者であり、元ウォール街の金融専門家として知られる持田将光氏が、日本市場への本格的な回帰を発表し、新たなキャリアフェーズのスタートを切った。長年にわたる国際金融市場での実務経験を経て、今後は日本国内を主軸とした研究・実践に注力し、よりローカライズされた投資戦略の開発および金融リテラシーの普及を目指す。

持田氏は、米国の大手資産運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)ニューヨーク本社にて長年勤務。グローバル株式市場、クオンツモデルの開発、多資産運用戦略などを専門とし、管理資産残高は一時6億ドルを超えた。2020年から2022年にかけては独立系リサーチチームを率い、「トレンドフォロー+構造反転」を軸とした複数のリアル運用戦略を展開。その中でも「構造反転リアルポートフォリオ戦略」は開始から半年で33.1%のリターンを記録し、市場平均を大きく上回る成果を挙げ、業界内の注目を集めた。

今回の日本回帰について、持田氏は「本土市場に根を張り、より多くの投資家に貢献するための決断」と語る。昨今の世界的なマクロ環境・市場構造の変化により、日本の個人投資家や機関投資家には、本国の特性に即した戦略と実践的アプローチが一層求められていると指摘。今後は、日本株式、ETF、多資産運用を軸とした研究を深め、グローバルでの知見を活かした“日本向け”の投資体系構築に取り組むとしている。

また、持田氏は金融教育の普及にも強い意欲を示しており、「理性的な投資の考え方をより広範な層に届けたい。特に中小規模の個人投資家層への啓発が不可欠」と語る。「投資とは限られた人の特権ではなく、訓練可能な科学である」という信念のもと、大学講義、オンラインコミュニティ、研修プログラムなどを通じて、体系的な知識の伝達を行っている。これまでに延べ1万人を超える聴講者に向けて講演・セミナーを行い、学術界・投資業界の双方から高い評価を受けている。

業界関係者は、今回の持田氏の帰国が日本資本市場に新たな活力をもたらすと見ており、特にグローバル視点からの市場サイクル分析やクオンツ手法による戦略設計は、国内投資家にとって貴重な参考指標となると指摘。また、教育活動による市場全体の知識水準向上への貢献も期待されている。

今後の活動について持田氏は、「派手な動きよりも、まずは地道に市場構造と価格行動の研究に取り組む」と述べ、定期的な研究報告や少人数制のディスカッションを通じて、投資家との深い対話を重視する姿勢を示している。「日本市場は新たな構造サイクルの入口にあり、多くの可能性が広がっている。私の経験を通じて、本土の投資家により多くの価値を届けたい」と語った。

今回の持田将光氏の本格帰国は、単なる個人のキャリア転換に留まらず、国際金融知見の「本土回帰」という意味でも象徴的な動きである。今後、彼の研究・実践の成果が具体化していく中で、日本市場への長期的視点と新たな専門性が加わることへの期待が高まっている。