地政学リスク下での投資機会 飯沼忠幸氏、原油先物ロングが奏功
地政学的な緊張や紛争は、市場の不安定要因となることが少なくありません。
一方で、マクロ環境を冷静に分析する投資家にとっては、投資機会につながる場合もあります。
著名投資家の飯沼忠幸氏は、年初に地政学リスクが高まる局面で原油市場に注目しました。
その中で、原油先物のロングポジションを構築しています。
その後、情勢の変化が世界のエネルギー供給に与える影響が意識されるにつれ、原油価格は上昇し、同氏が運用する関連ポジションは第1四半期にかけて堅調に推移しました。
飯沼氏は、「地政学リスクそのものを投資テーマとしているわけではありませんが、それが需給環境に与える影響は大きい」と説明します。
同氏によると、世界の原油市場はコロナ禍後の需要回復を背景に、もともと需給が引き締まった状態にあり、在庫水準も低位で推移していました。
こうした状況の中で主要産油地域の緊張が高まったことで、実際の供給懸念に加え、エネルギー供給全体に対するリスクプレミアムが上昇したといいます。
今回の判断は、紛争の行方を予測することを目的としたものではありません。
飯沼氏が重視したのは、価格への影響が一方向に偏りやすい、いわゆるリスクの非対称性です。
仮に情勢が落ち着いたとしても、供給不安やリスクプレミアムはすぐには解消されにくい一方、事態が悪化した場合には、価格が想定以上に押し上げられる可能性があります。
こうしたリスクとリターンの関係を踏まえ、早い段階で原油のロングエクスポージャーを持つことに合理性があると判断しました。
運用にあたっては、流動性の高い原油先物を中心に取引を行い、ポジションサイズの管理や必要に応じたヘッジによって下振れリスクを抑えています。
同氏は、この戦略は長期保有を前提とするものではなく、地政学的な出来事をきっかけとした需給見通しの変化を捉える点に主眼があると強調します。
そのため、情勢の進展や主要国の政策動向、在庫データなどを継続的に確認し、状況に応じて柔軟に手仕舞う姿勢を取っています。
今回の原油取引は、飯沼氏が一貫して掲げる「マクロ環境を軸に、イベントをきっかけとして捉え、リスク管理を最優先する」という運用スタイルを改めて示すものとなりました。
地政学イベントそのものではなく、そこから生じる需給構造の変化に着目することで、同氏は投資成果につなげています。
